2025年7月23日、弊社は株式会社オカムラ様主催の研修会に参加し、「ウェルビーイング」と「WELL認証」について学ぶ機会をいただきました。近年、働き方の多様化が進む中で、社員の健康や心の豊かさに配慮したオフィスづくりが注目されています。本記事では、研修で学んだ内容をレポート形式でご紹介します。
1.ウェルビーイングとは?
「ウェルビーイング(Well-being)」とは、身体的・精神的・社会的に満たされた健康的な状態を指す言葉です。英語の「well(よく)」と「being(存在すること)」を組み合わせたもので、直訳すると「良く生きること」「幸せに生きること」を意味します。
世界保健機関(WHO)も、健康を「身体的、精神的、そして社会的に完全に良好な状態」と定義しており、ウェルビーイングの考え方と深く重なっています。
2.WELL認証とは?
WELL認証(WELL Certification)は、人の健康やウェルビーイングに配慮した建物や空間を評価・認証する国際的な評価システムです。
アメリカの公益企業IWBI(The International WELL Building Institute)によって2014年にスタートしました。
この認証は、以下の10のコンセプトを基に評価されます:

各コンセプトについて書類審査・実地検証が行われ、獲得ポイントに応じて「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の3段階で認証ランクが付与されます。
3.プラチナランク取得オフィス「CO-EN LABO」

今回訪問した株式会社オカムラ様のラボオフィス『CO-EN LABO』(渋谷区)は、WELL認証において最高位の「プラチナランク」を取得しています。10の評価項目すべてにおいて非常に高い基準を満たした空間は、人の健康・快適性を第一に考えた設計であると実感できるものでした。
4.実際に見て・触れて学んだ「働きやすさを実現する空間設計」
株式会社オカムラ様が実践されている「人にやさしい空間づくり」を、実際に体験することができました。特に印象的だった取り組みをご紹介します:
■オープンでつながる空間設計

このオフィスには、物理的な間仕切りがほとんどありません。会議室ですら壁で閉ざされず、オープンな雰囲気の中で自然に人が集い、対話が生まれる設計になっていました。ICTツールを活用して会議室の予約もスマートに行え、一体感と機能性を兼ね備えた空間設計が印象に残りました。
■ 上下昇降デスク(導入率50%)

株式会社オカムラ様のオフィスでは、全体の約50%のワークステーションに上下昇降デスクが導入されており、社員一人ひとりが自分の体調や作業内容に応じて「立ち」「座り」を自在に選べる環境が整っています。
この取り組みは、WELL認証における「運動(Movement)」の必須要件とも深く関係しており、実はWELL認証では全ワークスペースの25%以上に立ち座り調整可能な設備を導入することが推奨されています。その背景には、長時間の座位作業によって起こる肩こり・腰痛などの身体的負担を軽減し、作業効率や集中力を高めるという明確な効果があります。静かでスムーズな昇降機能により、業務中でも自然に姿勢を変えることができ、心身のリズムを整える一助となっていると感じました。
実際に案内いただいた際にも、社内で非常に人気のある設備であることが紹介されており、気分転換や姿勢改善、集中力維持など、多面的な効果が期待されていることが伝わってきました。
■ 自然を感じる、光と緑のあるオフィス

オフィス全体に自然光がたっぷり差し込み、グリーンも豊富に配置されているため、空間は明るく、生命感にあふれています。ソファのあるスペースの近くに置かれた植木鉢にはスピーカーが入っており、そこから流れる心地よいBGMが空間を包み込んでいました。
このBGMはただの演出ではなく、サウンドマスキングとしての機能も果たしており、周囲の会話や物音をやわらかく遮る役割を担っています。壁などの物理的な間仕切りではなく、音で空間を仕切るという発想が取り入れられており、オープンなレイアウトの中でも集中とリラックスのメリハリが保たれているのが印象的でした。自然と音が調和したその空間は、視覚・聴覚の両面から快適さを感じられ、まさにウェルビーイングの理想を体現しているようでした。
■ ナップエリア(仮眠スペース)
オフィスの一角には、短時間の休息を取れる専用の仮眠室が設けられていました。心身をリセットする場として機能していました。「休むこと」も生産性の一部であるという考え方が反映されており、パフォーマンスの向上につながる設計でした。
■ いちごのお世話が生むコミュニティ

特に驚いたのは、オフィス内でいちごを育てているという取り組みです。なんと、年間を通じて毎日新鮮ないちごを収穫できるよう設計されており、社員が日々手入れをし、育てた実を分け合うという、自然とコミュニケーションが生まれる仕組みになっていました。
この「いちごを育てる」という行為が、オフィス内に小さな共同体を生み、心をほぐす役割を果たしているのがとても印象的でした。食を通じたつながりも、立派なウェルビーイングの一要素です。
5.おわりに
今回の研修では、「空間のあり方」が人の健康や働き方に与える影響を、理論と実践の両面から学ぶことができました。
株式会社オカムラ様の「人を中心に考えるデザイン」は、今後のオフィスづくりや働く環境改善において、大きなヒントとなるものです。私たちもこの学びを活かし、ウェルビーイングとWELL認証の理念に沿った、より良い空間づくりを実現してまいります。
今回ご紹介した株式会社オカムラ様のラボオフィス『CO-EN LABO』は、弊社のお客様も見学が可能です。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。なお、弊社は大阪・名古屋・福岡・仙台にも拠点があり、同地域にある株式会社オカムラ様のラボオフィスについても見学のご案内が可能です。東京のみならず各地でのご見学をご希望の際も、お気軽にご相談ください。次回のレポートもお楽しみに。
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