
オフィスの安全性を高めるためには、単に鍵をかけたり、ウイルス対策ソフトを導入したりするだけでは不十分です。守るべき対象が「社員の安全」「物理的な資産」「顧客情報・機密データ」など多岐にわたるため、複数の角度から対策を講じる必要があります。
特に現代のオフィスは、テレワークやフリーアドレスなど多様な働き方が進むことで、従来以上にリスクが複雑化しています。入退室管理や監視カメラなどの物理的な対策に加え、ネットワークや情報システムの安全性を確保する仕組み、さらには従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高める教育体制まで、総合的な視点で取り組むことが求められます。
ここからは、オフィスのセキュリティを強化するために特に重要とされる6つの代表的な対策について、それぞれの目的と効果、導入時のポイントを詳しく解説していきます。
セキュリティゾーニングの設計
セキュリティゾーニングとは、オフィスを用途や重要度に応じてエリア分けし、それぞれに適切なセキュリティレベルを設定する考え方です。たとえば、来客も立ち入るエントランスや打ち合わせスペースは比較的オープンにしつつ、サーバールームや経理部門など機密性の高いエリアには厳格な入退室管理を設ける、といった方法です。
セキュリティゾーニング
◎ Lv1:パブリックゾーン(エントランス・廊下・エレベーターなど)
制限や対策の必要性は比較的低く、基本的な防犯対策を中心に設計します。
- ・防犯カメラの設置による常時監視
- ・入退ゲートの設置で部外者の侵入を抑止
- ・来訪者の入退室履歴の記録・管理
◎ Lv2:共有ゾーン(受付・ロビー・打ち合わせスペースなど)
不審者や関係者以外の侵入を防ぐため、より一歩踏み込んだ対策が必要です。
- ・防犯カメラによる監視強化
- ・パーテーションで動線と視線をコントロール
- ・来訪者の受付・入退室管理システムの導入
◎ Lv3:ワークゾーン(執務スペース・会議室・休憩室など)
外部の人間が出入りする可能性があるため、情報漏洩リスクへの対策が重要です。
- ・社員証やカードキーによる入退室管理
- ・セキュリティ電気錠で不正アクセスを防止
◎ Lv4:機密ゾーン(役員室・サーバールーム・金庫など)
最も高いレベルのセキュリティが求められるエリアです。
- ・防犯カメラと入退室管理を多層的に運用
- ・複数の認証システム(ICカード+生体認証など)の組み合わせ
- ・厳重なセキュリティ錠や物理的遮断による保護
このようにゾーンごとにセキュリティの層を作ることで、万が一不審者が侵入しても重要情報や資産へのアクセスを防ぐことができます。設計段階で動線や利用頻度を考慮し、業務効率を損なわずにセキュリティを高めることがポイントです。
入退室管理システムの導入
入退室管理システムは、オフィスの安全性を高めるうえで欠かせない対策の一つです。社員や来訪者の入退室をICカード・顔認証・指紋認証などで管理することで、「誰が・いつ・どこに出入りしたか」を正確に記録できます。不審者の侵入防止はもちろん、万が一トラブルが発生した際にも迅速な追跡や原因特定が可能です。
また、部門や役職ごとに入室できるエリアを制限することもでき、機密情報へのアクセスを最小限に抑えられます。近年では勤怠管理と連携できるシステムも増えており、セキュリティと業務効率の両立が期待できます。
防犯カメラシステムの配置
防犯カメラは、オフィスの「見えない警備員」として、日々の安全を支える重要な存在です。設置しているだけでも不審者への大きな抑止力となり、侵入や盗難、内部不正といったリスクを大幅に低減できます。
エントランスや通用口、バックヤードなどの出入り口に加え、サーバールームや書類保管室といった機密エリアにもカメラを設置することで、より高いセキュリティ体制を構築できます。また、トラブル発生時には映像記録が客観的な証拠となり、迅速な原因解明や再発防止策の立案に役立つ点も大きなメリットです。
近年はクラウド管理やAI解析などの技術進化も進んでおり、リアルタイムでの遠隔監視や不審行動の自動検知など、より高度なセキュリティ運用が可能になっています。
パーテーションによる視線制御
オフィスのセキュリティ対策では、デジタルだけでなく「物理的な仕切り」による視線のコントロールも欠かせません。パーテーションを活用すれば、来訪者や通行人から内部の重要エリアや情報が見えないように遮ることができ、情報漏洩のリスクを大きく減らせます。
例えば、エントランスと執務スペースの間や、機密資料を扱うエリアなどに設置することで、自然な動線を確保しつつセキュリティ性を高められます。加えて、視線が遮られることで集中しやすい環境が生まれるという副次的な効果も期待できます。
セキュリティ対応収納設備
機密文書や重要な契約書、外部に漏れてはいけないデータ媒体などを安全に管理するためには、セキュリティ性の高い収納設備の導入が不可欠です。耐火性や耐衝撃性を備えたキャビネットや、暗証番号・ICカードで開閉できるロッカーを設置することで、不正アクセスや盗難のリスクを大幅に低減できます。
また、権限別にアクセス制限を設けることで、管理体制をより強固にし、社員が安心して業務に集中できる環境を整えることにもつながります。
さらに弊社では、こうしたセキュリティ対策をより手軽に実現していただけるよう、公式オンラインショップ
「オフィス空間オンライン」にて高性能な金庫やセキュリティ収納設備も取り扱っています。用途や設置場所に応じた多彩なラインアップをご用意しておりますので、オフィス環境の見直しや新規導入の際はぜひご活用ください。
音響セキュリティ対策
会議室や応接室など、重要な情報が話し合われる空間では「音漏れ対策」も欠かせません。壁や天井に吸音材や遮音パネルを使用することで、室外への会話漏れを防ぎ、盗聴や第三者による情報収集のリスクを軽減できます。
さらに、防音ドアや二重窓の設置も効果的です。加えて、ホワイトノイズ発生装置を導入すれば、万が一音が漏れた場合でも内容の判別が困難になります。音響面からもセキュリティを強化することで、機密性の高い会議や商談を安心して行える環境が整います。