
せっかく休憩室をつくるなら、単なる「休むための場所」ではなく、社員が自然と集まり、気分をリセットできる空間にしたいものです。そのためには、デザイン性と機能性の両立が欠かせません。おしゃれで快適な空間は社員の満足度や生産性を高めるだけでなく、企業イメージの向上や採用力強化にもつながります。
最近ではカフェ風の内装や温かみのある素材を取り入れたデザイン、開放感のあるガラス仕切りなど、働く世代の感性に合った工夫も重視されています。
本章では、プロの視点から「居心地の良さ」と「デザイン性」を両立させるためのポイントをわかりやすく解説します。単なる休憩スペースから一歩進んだ“価値ある空間”をつくるヒントを見つけましょう。
カフェ風インテリアで「非日常感」を演出
オフィス内であっても、休憩室は「仕事の合間に心と体をリセットする場所」であり、日常の業務空間とは違う雰囲気づくりが重要です。
中でも人気が高いのが、カフェのような空間演出です。木目調のテーブルや落ち着いたカラーのチェア、間接照明やペンダントライトなどを取り入れることで、オフィスとは一線を画した“非日常感”のある雰囲気を演出できます。
こうした空間では自然と会話が生まれたり、コーヒーを片手にリラックスした時間を過ごしたりと、社員の心にゆとりが生まれます。また、居心地の良さが社員同士のコミュニケーションや新しいアイデアの創出を後押しする効果も期待できます。
さらに、来客時に見える位置に設ければ、企業のデザイン性やブランディングを印象づけるポイントにもなります。
機能性だけでなく「癒し」と「居心地」を重視したカフェ風の休憩室は、働く人の心を前向きにし、職場全体の満足度を高める空間となるでしょう。
自然光と眺望を活かした窓際レイアウト
快適な休憩室をつくるうえで、自然光や外の景色といった「環境の力」を最大限に活かすことは非常に効果的です。
窓際に休憩スペースを設けると、日差しの明るさや季節の移ろいを感じながら過ごせるため、心身のリラックス効果が高まり、短時間でもしっかりと気分をリセットできます。さらに、自然光には集中力や気分を高める効果があることも知られており、働く意欲の向上にもつながります。
また、外の眺望を楽しめるレイアウトにすれば、ちょっとした休憩が“癒しの時間”となり、ストレスの軽減や創造性の向上にも貢献します。窓際カウンター席やロースタイルのソファ席などを設けることで、読書や一人時間を過ごす場所としても活用可能です。
限られたスペースでも自然光を取り込む工夫をすれば、休憩室は単なる休憩場所ではなく、「気持ちを整える空間」へと進化します。
自然の光と眺めを味方につけること――それが、快適性と心地よさを両立させる休憩室づくりの重要なポイントです。
グリーン(植物)によるバイオフィリックデザイン
快適で心地よい休憩室づくりを考えるうえで、自然の要素を取り入れた「バイオフィリックデザイン」は欠かせません。植物には、視覚的な癒しや空気清浄効果があるだけでなく、ストレス軽減や集中力向上といった心理的なメリットも多く、オフィス環境の質を大きく高めてくれます。
休憩スペースに観葉植物を置くだけでも印象は変わりますが、壁面を緑で覆う「グリーンウォール」や、天井から吊るすプランター、自然素材の家具と組み合わせたコーディネートなど、デザイン性の高い取り入れ方も効果的です。
また、四季の移ろいや自然のリズムを感じられる空間は、社員の心を落ち着かせ、創造性を刺激する場にもなります。単なる装飾ではなく「自然と共生する空間」として植物を計画的に取り入れることで、休憩室はよりリラックスできるだけでなく、働く意欲やモチベーションを高める場へと進化します。
自然の力を活かしたデザインは、快適性と居心地の良さを両立するうえで欠かせないポイントです。
用途に応じた個室・オープンスペースの使い分け
快適な休憩室をつくるうえで重要なのが、「人との交流を楽しむ場」と「静かにひとりで休む場」という2つのニーズを満たす空間設計です。社員が求める休憩の形はさまざまであり、すべての人が同じ環境でリラックスできるとは限りません。
たとえば、オープンスペースはカジュアルな会話やチームの交流に最適です。大きなテーブルやソファ席を設ければ、雑談を楽しんだり、ちょっとしたコミュニケーションのきっかけが生まれやすくなり、気持ちの切り替えにもつながります。
一方で、「人と話さず静かに休みたい」「仮眠や読書など、自分だけの時間を過ごしたい」というニーズも多くあります。そのため、仕切りを設けた半個室のリラックススペースや、静かに過ごせるパーソナルブースを用意すると、自分らしい休憩を叶えられます。
このように、交流の場と静養の場をバランスよく共存させる設計が、休憩室を本当の意味で「社員が心からくつろげる空間」にするポイントです。