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2014/12/22up
日本の多くのオフィスでは、机を向い合せに連結した「島型対向型」レイアウトが一般的です。上席に管理職のデスクが置かれ、その前に一般社員のデスクが向かい合わせに並びます。この配置は、会社の組織図に習って決められたものといえます。
これに対してフリーアドレスオフィスは、社員が自分のデスクを持たず、フロア内で空いているデスクを自由に使うという方式です。
最近では、知識創造を生み出すオフィスづくりとして経済産業省のクリエイティブ・オフィス構想でも取り上げられ、特にIT企業に広まりつつあります。
もともとフリーアドレスオフィスは日本で生まれた概念です。アメリカと違ってオフィススペースに限りがあるため、一日の大半を外で過ごす営業職の個人席を、共用スペースとして利用できないかという研究と取り組みが1980年代にされました。
ただ、当時の日本企業は、オフィスに自分のデスクがあることがアイデンティティの基礎になるという認識があり、なかなか普及しませんでした。
しかし、1990年代にフリーアドレスオフィスが、「第8回日経ニューオフィス賞 推進賞」を受賞したこともきっかけとなり、いくつかの企業が導入するようになり徐々に浸透してきています。
最近になって、ベンチャー企業などを中心に、フリーアドレスオフィスが注目されるようになりました。その背景には、モバイル機器の普及が大きく影響しているといわれています。
今やノートパソコンと携帯電話があれば、社内にいなくてもたいていの仕事はできるようになりました。営業職に至っては、1日数分しか在席しないというケースもあるようです。
さらにクラウドコンピューティングが本格化してからは、ノートパソコンにデータを保管するというセキュリティ上の問題もほぼ解決されました。こうした状況もあり、会社内では自分専用のノートパソコンと書類の保管庫さえあれば、自由に使えるデスクスペースで事足りるというわけです。
フリーアドレスでは、自分専用のデスクではないので机に書類を溜め込んでしまうことはありませんし、その日に使った書類やパソコンなどは必ず所定の場所で保管することになるため、オフィス内のセキュリティが高くなるというメリットもあります。
経済産業省が提唱している「クリエイティブ・オフィス」の推進においても、フリーアドレスオフィスは、これまでのオフィスの形や、働き方から脱却することに役立ちます。
なかでも、クリエイティブ・オフィスの知識創造行動において「ふらふら歩く」というアイディアは他部署間でも話しやすくする工夫がされたもので、従来の島型オフィスでは考えられなかった発想です。
クリエイティブ・オフィスは、自分の席にだけに留まらず、社内を自由に行き来して、いろいろな人と接し、お互いの仕事や能力、可能性を感じ合うことを目指しています。
すでに取り入れている企業では、社内コミュニケーションの活性化、社員のモチベーションの向上など、業務上の成果が上がっているようです。
オフィス移転は、フリーアドレスオフィス導入に最適なチャンスといえます。
導入するにあたっての1番の課題は、どの範囲で導入するかを見極めること。全社レベルなのか、事業部や部門別なのか、営業職やクリエイティブ職など職種別での導入なのか、さまざまなレベルの導入が考えられます。
他にも、情報管理の環境を整えることが重要になってきます。
クリエイティブや企画開発の部門では、1人1台のノートパソコンと業務専用携帯電話が支給されているため、その管理は最低限の条件です。
さらに、社員のストレスケアも大切。営業職や若い世代が多い会社では、フリーアドレスへスムーズに移行できることが多いのですが、長年島型オフィスで勤務を続けてきた中高年世代が多くいる場合には課題が膨らみます。
居場所がなくなることによって疎外感や不安感が生じ、業務に支障が起きたり、一時的に効率が落ちるなど、さまざまなケースが起こり得ます。そのために、導入のためのミーティングやサポートを慎重に行う必要があります。
フリーアドレスオフィスの導入は、多くの課題もありますが、オフィスフロアの省スペース効果の他に、コミュニケーションの活性化、仕事に応じたコラボレーション、セキュリティ対策、リフレッシュ効果などたくさんのメリットがあります。
ぜひ一度自社のスタイルに合うか検討してみてはいかがでしょうか。